高速度カメラHiSpec1による拡大撮影

小型・軽量・高感度な高速度カメラHiSpec1は、いままで困難だった拡大高速度撮影を簡単に行うことができます。

高速度カメラHiSpec1とケンコー・トキナー社マクロレンズを使用して拡大撮影を行います。

KCM-0.5KCM-1KCM-3KCM-5
光学倍率0.55倍1倍3倍5倍
ワークまでの距離71mm71mm72mm70mm
被写界深度1.2mm1.2mm0.3mm0.3mm
分解能13μm13μm6μm6μm
長さ(L)84.7mm116.1mm115.5mm146.5mm
重量50g50g55g55g
対応素子サイズ1/3インチ1/2インチ2/3インチ2/3インチ

拡大撮影における注意点

  • マクロレンズによる拡大撮影では相対のスピードが上がるため、より高速な撮影速度が必要になります。
  • 拡大撮影では、被写界深度が浅くなります。つまり、ピントが合う範囲が狭くなり、カメラの少しの揺れで撮影対象物がぼけたり、見えなくなったりします。そのため、拡大撮影には、XY軸の微動架台などカメラ位置を細かく制御できる機器を付ける必要があります。
  • 拡大用のレンズは、通常のレンズに比べて暗くなり、より多くの光が必要になります。HiSpec1のような高感度のカメラが最適な理由がそこにあります。HiSpec1は、センサー自体の感度を上げることができるため、拡大撮影には最適です。(今回の撮影事例では、この機能は使用していません。)今回の撮影では、300Wのハロゲンライトを使用しました。

(1)HiSpec1とマクロレンズKCM-0.5の組合せ

拡大率の目安に定規を撮影しています。

撮影の解像度と撮影対象物の大きさ及び撮影速度に注目してください。

定規と共に写っている文字は、定規の面よりも約1mm奥に置かれています。同時にピントが合っていることで、被写界深度の目安にすることができます。

KCM-0.5レンズとの組合せでは、1mm程度の物体が10x10mmの範囲を5000コマ/秒のような高速で移動する現象を撮影するのに適しています。

撮影条件(図1及び図2)

撮影速度    :1000コマ/秒
撮影解像度   :704x706px
シャッター速度 :250μ秒(4000コマ相当)

704×706ピクセルの解像度では、周辺部にケラレが発生する

図①
図②

図1)拡大率を感覚的に理解するために定規を撮影したもの
図2)同条件で0.5mmのシャープペンシルの芯を撮影したものである。
図3)5000コマ/秒・320×273ピクセルの撮影ならば、周辺部のケラレもなく、高速度撮影が可能である。

図3

(2)HiSpec1とマクロレンズKCM-1の組合せ

KCM-1レンズとの組合せでは、1mm程度の物体が10x10mmの範囲を1000コマ/秒のような高速で移動する現象を撮影するのに適しています。

KCM-0.5レンズに比べて拡大率が大きいため、図5のシャープペンシルの芯の質感が表現されています。

撮影条件(図4及び図5)

撮影速度    : 1000コマ/秒
撮影解像度   : 704x706px
シャッター速度 : 994μ秒(1000コマ相当)

さらに撮影速度を上げ、3000コマ/秒での撮影も可能です。

図6は、撮影解像度320×354ピクセルで、シャッター速度は328μ秒で撮影されています。

高倍率で3000コマ/秒で撮影する場合に、適応することができます。

図④
図⑤
図⑥

(3)HiSpec1とマクロレンズKCM-3の組合せ

KCM-3レンズとの組合せでは、0.2~0.5mm程度の物体が3x3mmの範囲を1000コマ/秒のような高速で移動する現象を撮影するのに適しています。

KCM-1レンズに比較して非常に拡大率が大きいため、図7のシャープペンシルの芯の表面質感がよく表現されています。

撮影条件

撮影速度    : 1000コマ/秒
撮影解像度   : 704x706px
シャッター速度 : 994μ秒(1000コマ相当)

さらに撮影速度を上げ、2000コマ/秒での撮影も可能です。

図9は、撮影解像度512×504ピクセルでシャッター速度は496μ秒で 撮影されています。

高倍率で2000コマ/秒で撮影する場合に適応することができます。

図⑦
図⑧
図⑨

(4)HiSpec1とマクロレンズKCM-5の組合せ

KCM-5レンズとの組合せでは、0.05~0.1mm程度の物体が2x2mmの範囲を1000コマ/秒のような高速で移動する現象を撮影するのに適しています。

拡大率が大きいため、シャープペンシルの芯の表面質感がKCM-3より表現されています。

撮影条件

撮影速度    : 1000コマ/秒
撮影解像度   : 800x600px
シャッター速度 : 994μ秒(1000コマ相当)

図⑩
図⑪

(5)90度プリズムの使用

トキナ社のマクロレンズには、レンズの先端に撮影方向を90度変更するプリズムのオプションが準備されています。

このプリズムユニットを先端に取り付けることで、撮影の応用範囲が広がります。

図⑫
図⑬
図⑭

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